葛尾村「Katsurao Collective」

ART × 地域:アーティストと地域が、ともにつくるための実践

福島県葛尾村で2022年から2026年にかけて展開されたプロジェクト「Katsurao Collective」。
大山里奈は、アーティストとして活動する一方、コーディネーターとして、全国から訪れるアーティストと地域をつなぎ、その活動に伴走してきました。
アーティストが地域に滞在し、土地を歩き、人に出会い、地域の歴史や暮らしに触れながら、それぞれの視点で地域を見つめ、作品や活動へとつなげていく。その過程で大切にしてきたのは、アーティストが作品を制作するための環境を用意することだけではありません。
「誰と出会うのか」
「何を見るのか」
「地域の人とどのような関係をつくるのか」

アーティストと地域の間に立ち、その出会いと関係をつくることも、コーディネーターの重要な役割でした。

アーティストの視点から、地域を見つめ直す活動を続けるなかで見えてきたのは、アーティストが、地域の人にとっては当たり前になっている風景や営み、素材、記憶に立ち止まり、新しい角度から見つめる存在だということでした。
羊毛や残糸、土、藁、古いガラス、地域に伝わる祭りや芸能、人々の記憶や暮らし。
アーティストとの活動を通して、それまで地域の中にあったものが、別の価値を持つものとして見えてくることがありました。

作品をつくるだけではなく、アーティストの視点を通して、地域にあるものをもう一度発見する。
その経験は、現在の合同会社いることの活動にもつながっています。
「ともにつくる」ためには、間に立つ人が必要な一方で、活動を続けるなかでは、アーティストと行政、地域との間にある違いにも向き合ってきました。それぞれが使う言葉も、ものごとを見る角度も、活動に求める成果も異なります。だからこそ、アーティストを地域に招くだけでは、「ともにつくる」関係が自然に生まれるわけではありません。

互いの考えを伝えること。
一緒に地域を見ること。
目的を共有すること。
それぞれの役割を考えること。
活動の途中で生まれた発見や変化を共有すること。

そうした関係とプロセスを整える人が必要であることを、現場で学びました。
同時に、異なる視点を持つ人たちが本当に一緒に考えることができたとき、一方だけでは生まれなかった価値や活動が生まれることも経験しました。

「ART × 〇〇」へ

Katsurao Collectiveでの経験は、大山里奈が現在考える「ART × 〇〇」の原点です。
アートを地域のために一方的に「利用する」のでもなく、アーティストが地域を作品制作のためだけに「利用する」のでもない。
アーティストと地域、それぞれが持っている視点や経験、技術を持ち寄り、ともに考える。
そして、そのために必要な出会い、対話、時間、環境、プロセスを整える。
Katsurao Collectiveで培った経験をもとに、合同会社いることでは現在、アーティストと地域・行政・企業などの間に立ち、それぞれの力が掛け合わされるためのコーディネートに取り組んでいます。
異なるものとものの間に立ち、ともにつくるための関係をつくる。
Katsurao Collectiveは、その考え方の原点となったプロジェクトです。

※公式ページ:https://katsurao-collective.com/
※2022年4月–2026年3月
「アーティスト移住・定住促進事業(Katsurao Collective)」葛尾村委託事業 一般社団法人葛力創造舎が受託